こんにちは、「リスキリング転職ラボ」のユウです。
私は以前、スクール営業としてスキルアップやキャリアチェンジを考えている方の相談に携わり、現在は現役転職エージェントとして、転職やキャリアについての相談を受けています。
事務職として働きながら今後のキャリアを考えていると、
- このままずっと事務職を続けていいのかな
- IT系の仕事に興味はあるけれど、プログラミングは難しそう
- 事務職からIT業界へ転職できる?
- ITサポートやヘルプデスクなら未経験でも目指せる?
- 転職するなら何を勉強すればいい?
- ITパスポートなどの資格は必要?
といった疑問を持つ方もいると思います。
結論から言うと、事務職の経験とITの基礎知識を組み合わせることで、ITサポートやヘルプデスクへのキャリアチェンジを検討できる場合があります。
ITサポートというと、「ITに詳しい人しかできない仕事」というイメージを持つかもしれません。
しかし実際には、パソコンやシステムに関する知識だけでなく、
- 問い合わせ内容を聞き取る力
- 情報を整理する力
- 相手に分かりやすく説明する力
- 社内の担当者と連携する力
- マニュアルや手順書を作る力
なども重要になる仕事です。
こうした力は、一般事務や営業事務などで身につけている方も多いのではないでしょうか。
つまり、事務職からITサポートを目指す場合は、今までのキャリアを捨ててゼロから始めるのではなく、
「事務経験+ITスキル」
という考え方ができます。
事務職からのキャリアチェンジ全体については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
事務職からキャリアチェンジするなら何を学ぶ?おすすめスキル5選を現役転職エージェントが解説
この記事では、元スクール営業×現役転職エージェントの視点から、事務職からITサポート・ヘルプデスクを目指す場合に活かせる経験、学びたいスキル、資格、学習の進め方、求人を見るポイントまで順番に解説します。
事務職からITサポート・ヘルプデスクへ転職できる?
まず気になるのが、
「IT未経験の事務職でも、本当にITサポートへ転職できるの?」
という点だと思います。
すべての求人に未経験から応募できるわけではありません。
企業によっては、ITサポート経験やネットワーク・システムに関する知識を求める求人もあります。
一方で、未経験者を対象としたITサポート・ヘルプデスクの求人もあります。
そのため重要なのは、
「未経験OKの求人があるか」だけを見るのではなく、自分のこれまでの経験と、求人で求められるスキルの接点を探すことです。
事務職であれば、例えば次のような経験があります。
- パソコンを使った日常業務
- ExcelやWordを使った資料作成
- 電話・メールでの問い合わせ対応
- 営業や他部署との調整
- データ入力・管理
- マニュアル・手順書の作成
- 社内システムの利用
こうした経験の中には、ITサポート業務にもつながるものがあります。
未経験転職だからといって、「今までの経験は関係ない」と考えないことが大切です。
ITサポート・ヘルプデスクはどんな仕事?
ITサポート・ヘルプデスクは、パソコンやシステム、ITサービスなどを利用している人が困ったときに、問題解決をサポートする仕事です。
例えば、
- パソコンにログインできない
- メールが送れない
- プリンターにつながらない
- 社内システムの操作方法が分からない
- パスワードを忘れた
- 新入社員用のアカウントを作成してほしい
といった問い合わせに対応します。
ただし、「ITサポート」「ヘルプデスク」「IT事務」「テクニカルサポート」などの職種名は、企業によって使い方が異なります。
そのため、職種名だけで仕事内容を判断しないことが重要です。
| 職種名 | 仕事内容の例 |
|---|---|
| ITサポート | 問い合わせ対応、PC設定、アカウント管理、IT機器管理など |
| ヘルプデスク | 社員・顧客からのIT関連の問い合わせ対応、トラブルの切り分け |
| IT事務 | IT部門でのデータ入力、資料作成、管理・運用のサポートなど |
| テクニカルサポート | 製品やITサービスについての技術的な問い合わせ対応 |
求人を見る際は、タイトルではなく「実際に何を担当するのか」まで確認しましょう。
事務職の経験はITサポートでどう活かせる?
事務職からITサポートへ転職するときに大切なのが、これまでの経験をITサポートの仕事へ翻訳することです。
例えば、次のように考えられます。
| 事務職での経験 | ITサポートで活かせる場面 |
|---|---|
| 電話・メール対応 | 社員や顧客からの問い合わせ対応 |
| Excel・Wordの使用 | Office製品に関する問い合わせ、資料作成 |
| 社内調整 | エンジニアや別部署への連携 |
| データ入力・管理 | 問い合わせ履歴、機器、アカウント情報の管理 |
| マニュアル作成 | 操作手順書やFAQの作成 |
| 業務改善 | 問い合わせ削減、運用フローの改善 |
例えば、営業事務として、
「社内システムについて営業担当から質問されることが多かった」
「Excelの使い方を周囲に聞かれることが多かった」
「業務マニュアルを作った」
という経験があれば、それもITサポートとの接点になります。
転職活動では、
「事務職しか経験がありません」
ではなく、
「事務職として何を担当し、その経験をITサポートでどう活かせるか」
まで整理しましょう。
事務職からITサポートを目指すなら学びたい5つのスキル
ここからは、IT未経験の事務職がリスキリングする場合に、まず検討したいスキルを紹介します。
PC・Officeの基本操作
ITサポートを目指すなら、まず現在のPCスキルを確認しましょう。
例えば、
- Windowsの基本操作
- ファイル・フォルダ管理
- Excel
- Word
- PowerPoint
- メール
- オンライン会議ツール
などです。
事務職として日常的に使っている場合は、すでに一定の経験があるはずです。
大切なのは、「Excelを使えます」で終わらせず、
「どんな業務で、どの程度使っていたのか」
まで説明できるようにすることです。
ネットワークの基礎
ITサポートでは、インターネットや社内ネットワークに関する問い合わせを扱うことがあります。
最初から高度なネットワーク設計ができる必要はありません。
まずは、
- IPアドレスとは何か
- Wi-Fiとは何か
- LANとは何か
- ルーターとは何か
- DNSとは何か
など、基本的な用語や仕組みを理解するところから始めましょう。
OS・パソコンの仕組み
問い合わせ対応では、WindowsなどのOSに関する基本操作も必要になります。
例えば、
- ユーザーアカウント
- ソフトウェアのインストール
- アップデート
- 周辺機器の設定
- 基本的なトラブル対応
などです。
普段何となく使っているPCについて、「なぜその操作をするのか」まで少しずつ理解していきましょう。
情報セキュリティの基礎
会社のIT環境を扱う仕事では、情報セキュリティも重要です。
例えば、
- パスワード管理
- アクセス権限
- フィッシングメール
- マルウェア
- 個人情報・機密情報の取り扱い
などです。
ITサポートは多くの社員が使うシステムやアカウントに関わることもあるため、「便利だから」という理由だけで操作するのではなく、セキュリティを意識する必要があります。
問題を切り分ける力
ITサポートで特に重要なのが、問題を整理する力です。
例えば、ユーザーから、
「インターネットにつながりません」
と言われたとします。
そのときに、
- いつから発生しているのか
- その人だけなのか、全員なのか
- Wi-Fiには接続されているのか
- 特定のWebサイトだけ見られないのか
- エラーメッセージは出ているのか
と確認していきます。
つまり、答えを暗記するだけではなく、
「何が原因なのかを一つずつ確認する考え方」
を身につけることが重要です。
プログラミングは勉強した方がいい?
IT業界への転職を考えると、
「まずプログラミングを勉強しないといけないのでは?」
と思う方もいます。
しかし、ITサポート・ヘルプデスクを目指す場合、すべての求人でプログラミングスキルが必須というわけではありません。
むしろ最初は、
- PC
- OS
- ネットワーク
- セキュリティ
- クラウドサービス
などの基礎を学ぶ方が、仕事内容に直結する場合があります。
「IT業界へ行きたい=プログラミング」と決めつけず、目指す職種から逆算して学ぶ内容を決めましょう。
IT・Web系には他にもさまざまな職種があります。
未経験からIT・Web・クリエイティブ職へ転職するには?7職種と必要スキルを解説
ITパスポートなどの資格は必要?
ITサポートへの転職に、必ず資格が必要とは限りません。
そのため、
「資格を取るまでは応募できない」
と考える必要はありません。
一方で、IT未経験の場合は、資格試験の勉強を通じて基礎知識を体系的に学ぶ方法があります。
例えばITパスポートでは、ITだけでなく、情報セキュリティ、ネットワーク、システム、企業活動など幅広い基礎知識を学びます。
資格を使う場合も、
「合格したから転職できる」
ではなく、
「IT未経験だったため基礎知識を身につける目的で学習した」
と説明できる方が、リスキリングとしての目的が明確です。
資格についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
転職に資格は必要?現役転職エージェントが「取るべき人・取らなくていい人」を解説
事務職からITサポートを目指す学習ロードマップ
「何から始めればいいか分からない」という方は、次のような順番で進めてみてください。
ステップ1:実際の求人を10〜20件見る
最初にやってほしいのは、勉強ではなく求人を見ることです。
ITサポート、ヘルプデスク、IT事務などで検索し、複数の求人を確認します。
見るポイントは、
- 仕事内容
- 必須条件
- 歓迎条件
- 使用するシステムやツール
- 未経験者向けの研修
- 将来的なキャリア
です。
複数の求人を見ると、よく出てくるスキルや用語が分かってきます。
そこから、今の自分に足りないものを整理します。
ステップ2:ITの基礎を学ぶ
次に、PC、ネットワーク、OS、セキュリティなどの基礎を学びます。
書籍、動画教材、オンライン学習サービス、資格教材など、学び方はさまざまです。
大切なのは、教材を終わらせることではありません。
「この知識は仕事のどこで使うのか?」
と考えながら学びましょう。
ステップ3:自分のPCで実際に操作する
知識だけでなく、実際に操作することも重要です。
例えば、
- Windowsの設定画面を見る
- ユーザーアカウントを確認する
- ネットワーク設定を確認する
- コマンドを使ってIPアドレスを確認する
- クラウドストレージを使ってみる
など、小さなところから実践できます。
「聞いたことがある」から「実際に操作したことがある」へ進めていきましょう。
ステップ4:事務経験を棚卸しする
学習と並行して、今までの事務経験も整理します。
例えば、
- 問い合わせ対応を月に何件程度していたか
- どのOfficeソフトを使っていたか
- どんなシステムを利用していたか
- 他部署との調整をした経験はあるか
- マニュアルや業務フローを作ったことはあるか
- 業務を効率化した経験はあるか
などです。
ITの勉強だけでなく、「今までの経験+新しく学んだITスキル」をセットにしてください。
ステップ5:求人へ応募する
一定の基礎学習ができたら、すべてを完璧にしてからではなく、実際の求人も確認していきましょう。
応募する際には、
- なぜ事務職からIT分野へ進みたいのか
- なぜITサポートなのか
- 事務経験の何を活かせるのか
- 現在どんな学習をしているのか
- 今後どんなスキルを身につけたいのか
を説明できる状態にします。
リスキリングで学んだスキルを転職につなげる方法はこちらの記事でも解説しています。
リスキリングで学んだスキルを転職につなげるには?未経験者がやるべき5ステップ
働きながら学ぶなら「勉強時間」より「継続できる計画」を作る
事務職として働きながらITを学ぶ場合、最初から毎日何時間も勉強する必要はありません。
むしろ重要なのは、仕事が忙しい週でも続けられる計画を作ることです。
例えば、
- 平日は30分〜1時間程度、基礎学習をする
- 休日に実際のPC操作を試す
- 週に1回、求人を見て必要スキルを確認する
- 学んだ内容をメモに残す
といった形です。
学習時間の作り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
働きながらリスキリングを続けるには?学習時間の作り方と無理のない計画を解説
独学とスクールはどちらがいい?
ITサポートを目指すために、必ずスクールへ通う必要があるわけではありません。
PCやITの基礎知識は、書籍やオンライン教材を使って独学することもできます。
一方で、
- 一人では何から学べばいいか分からない
- 学習計画を立てるのが苦手
- 分からないところを質問したい
- 実践課題に取り組みたい
- 転職支援も受けたい
という場合は、スクールなどの学習環境を利用する選択肢もあります。
ただし、
「スクールに入ればIT転職できる」わけではありません。
元スクール営業としても、費用を払っただけで自動的にスキルが身につくわけではない点は、必ず意識してほしいと思います。
独学かスクールか迷っている方はこちらも参考にしてください。
リスキリングは独学で十分?スクールに通うべき人・通わなくていい人を解説
ITサポートの求人を見るときに確認したい7つのポイント
ITサポート・ヘルプデスクは、会社によって仕事内容や働き方が大きく異なる場合があります。
そのため、応募前に次の点を確認しましょう。
- 誰をサポートする仕事なのか
- 問い合わせ対応だけか、PC設定も担当するのか
- 電話・メール・チャットの割合
- 夜勤やシフト勤務の有無
- 自社勤務か客先常駐か
- 未経験者向け研修の内容
- その後どんなキャリアを目指せるのか
特に、
「未経験歓迎」
という言葉だけで判断しないことが重要です。
入社後にどんな仕事を経験できるのか。
どんなITスキルが身につくのか。
数年後にどんなキャリアへつながるのか。
ここまで確認して求人を選びましょう。
ITサポートから次のキャリアへ進むこともできる
ITサポート・ヘルプデスクを、キャリアの最終地点として考える必要はありません。
仕事をしながらIT知識や実務経験を身につけることで、その後、
- 社内SE・情報システム
- システム運用・管理
- インフラエンジニア
- テクニカルサポート
- SaaS企業のカスタマーサクセス
などへキャリアを広げることも考えられます。
例えば、ネットワークやサーバーに興味を持った場合は、インフラエンジニアへ進む選択肢もあります。
未経験からインフラエンジニアになるには?仕事内容・必要スキル・資格・転職までの5ステップ
重要なのは、
「IT業界に入ること」ではなく、「そこで何を身につけ、次にどんな仕事ができるようになりたいか」
まで考えることです。
事務職からITサポートへの転職でよくある質問
事務職しか経験がなくてもITサポートを目指せますか?
IT未経験から応募できる求人もあります。
ただし、未経験というだけで採用されるわけではありません。
事務職で身につけたPCスキル、問い合わせ対応、社内調整、情報整理などの経験を整理したうえで、ITの基礎学習を進めることが重要です。
プログラミングを勉強しないとIT業界へ転職できませんか?
すべてのIT職種でプログラミングが必要なわけではありません。
ITサポートの場合は、PC、OS、ネットワーク、セキュリティなどの基礎知識が仕事内容に直結する求人もあります。
目指す職種を決めてから必要なスキルを確認しましょう。
ITパスポートを取れば転職できますか?
資格を取得しただけで転職が決まるわけではありません。
ITパスポートなどは、IT未経験者が基礎知識を体系的に学ぶ方法の一つとして利用できます。
「資格を取った」だけでなく、「なぜ学び、何を理解できるようになったのか」まで伝えられるようにしましょう。
IT事務とITサポートはどちらが未経験向きですか?
職種名だけで一概には判断できません。
IT事務でも問い合わせ対応を行う企業がありますし、ITサポートでも事務業務が多い求人があります。
名称ではなく、実際の仕事内容・必要スキル・入社後に身につく経験を比較してください。
仕事を辞めてからITの勉強をした方がいいですか?
必ずしも仕事を辞める必要はありません。
まずは働きながら基礎学習を始め、求人を確認し、自分に合う仕事かを確かめる方法があります。
退職してから学び始めるかどうかは、生活費や学習期間、転職活動の見通しまで含めて判断しましょう。
まとめ
事務職からITサポート・ヘルプデスクを目指す場合、これまでのキャリアをすべて捨ててゼロから始める必要はありません。
事務職で身につけてきた、
- PCスキル
- 問い合わせ対応
- 社内調整
- 情報整理
- マニュアル作成
- 業務改善
などは、ITサポートでも活かせる可能性があります。
そのうえで、
- PC・Office
- ネットワーク
- OS
- 情報セキュリティ
- 問題を切り分ける力
といったITの基礎を学んでいきましょう。
そして大切なのは、いきなり資格やスクールを選ぶことではありません。
仕事内容を知る → 求人を見る → 自分の経験を整理する → 足りないスキルを学ぶ → 転職活動へつなげる
という順番です。
元スクール営業×現役転職エージェントとして特に伝えたいのは、リスキリングは「今までの経験を捨てること」ではないということです。
「事務経験+ITスキル」
という掛け算で、自分のキャリアの選択肢を広げていきましょう。

