こんにちは、「リスキリング転職ラボ」のユウです。
私は以前、スクール営業として、スキルアップやキャリアチェンジを考えている方の相談に携わっていました。
現在は現役転職エージェントとして、転職やキャリアについての相談を受けています。
リスキリングスクールを調べていると、
- 「補助金で安く受講できる」と書いてあるけど本当?
- 個人でもリスキリングの補助金を使える?
- 教育訓練給付金とは何が違う?
- 最大70%・80%というのは誰でも対象?
- どのスクールでも利用できる?
と疑問に感じる方も多いと思います。
結論から言うと、個人がリスキリングや学び直しで利用できる公的な支援制度はあります。
ただし、「リスキリングなら誰でも70%・80%安くなる」という意味ではありません。
制度によって、対象者・対象講座・給付率・手続き・転職要件などが異なります。
特に知っておきたいのが、次の2つです。
- 厚生労働省の「教育訓練給付金」
- 経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」
この記事では、2026年9月時点の公表情報をもとに、それぞれの違い、対象条件、給付・負担軽減の仕組み、申し込む前に確認したいポイントまで整理します。
※制度の内容や対象講座は変更される可能性があります。実際に利用する際は、厚生労働省・経済産業省・ハローワーク・各対象事業者の最新情報を必ず確認してください。
リスキリングの補助金は個人でも使える?
「リスキリングの補助金」と検索すると、さまざまな制度が出てきます。
まず理解しておきたいのは、すべてが同じ仕組みではないということです。
例えば、教育訓練給付金は、一定の条件を満たした人が厚生労働大臣の指定講座を受講・修了した場合に、教育訓練経費の一部が支給される制度です。
一方、「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、国から個人へ直接補助金を振り込む仕組みではありません。
採択された事業者に補助が行われ、その結果として受講者の講座料金の負担が軽減される仕組みです。
そのため、スクールの広告などで「最大70%補助」と書かれていても、何の制度なのかを確認することが重要です。
教育訓練給付金とキャリアアップ支援事業の違い
| 項目 | 教育訓練給付金 | リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 |
|---|---|---|
| 主な所管 | 厚生労働省 | 経済産業省 |
| 基本的な仕組み | 条件を満たした受講者へ教育訓練経費の一部を支給 | 採択事業者への補助を通じて受講者の料金負担を軽減 |
| 主な対象 | 一定の雇用保険加入期間などを満たす人 | 原則として在職中で、雇用主の変更を伴う転職を目指す人 |
| 対象講座 | 厚生労働大臣の指定講座 | 採択事業者が提供する対象サービス・講座 |
| 支援割合 | 20%・40〜50%・50〜80%など訓練区分と条件による | 講座修了で1/2相当、所定の転職・継続就業で追加1/5相当 |
| 転職が必須か | 制度・追加給付の条件によって異なる | 制度の目的として雇用主の変更を伴う転職を目指すことが前提 |
同じ「リスキリングの支援制度」でも、かなり違いがあります。
「最大○%」という数字だけを見るのではなく、自分がどの制度の対象なのかから確認しましょう。
教育訓練給付金とは?3種類を比較
教育訓練給付金には、大きく分けて次の3種類があります。
| 種類 | 基本給付 | 追加給付を含む場合 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 教育訓練経費の20% | 上限10万円 |
| 特定一般教育訓練 | 教育訓練経費の40%・上限20万円 | 所定の資格取得・就職等で50%・上限25万円 |
| 専門実践教育訓練 | 教育訓練経費の50%・年間上限40万円 | 条件により70%、さらに賃金上昇条件まで満たすと80% |
ここで重要なのは、スクール料金の80%が誰でも自動的に戻ってくるわけではないことです。
対象講座・雇用保険の加入期間・資格取得・就職・賃金上昇など、それぞれ条件があります。
一般教育訓練|20%・上限10万円
一般教育訓練は、厚生労働大臣が指定した教育訓練を修了した場合に、教育訓練経費の20%、上限10万円が支給される制度です。
3種類の中では比較的シンプルですが、好きなスクール・好きな講座を受講すれば自動的に対象になるわけではありません。
受講しようとしている講座そのものが指定されているかを確認する必要があります。
特定一般教育訓練|40%、条件を満たすと50%
特定一般教育訓練は、速やかな再就職や早期のキャリア形成につながる教育訓練として指定された講座が対象です。
訓練修了後に教育訓練経費の40%、上限20万円が支給されます。
さらに、所定の資格取得等を行い、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されるなどの条件を満たすと、教育訓練経費の50%、上限25万円まで追加給付の対象になる場合があります。
専門実践教育訓練|条件により最大80%
専門実践教育訓練は、中長期的なキャリア形成につながる専門的・実践的な教育訓練が対象です。
基本となる給付は、教育訓練経費の50%、年間上限40万円です。
さらに、資格取得等を行い、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合などは、教育訓練経費の70%、年間上限56万円まで給付される場合があります。
加えて、所定の条件を満たしたうえで、訓練修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合は、教育訓練経費の80%、年間上限64万円まで給付される仕組みがあります。
つまり「最大80%」という数字だけを見るのではなく、50%→70%→80%と、それぞれ追加条件があると理解しておくことが大切です。
教育訓練給付金は誰でも利用できる?
教育訓練給付金には、雇用保険の加入期間などの支給要件があります。
大まかには、一般教育訓練・特定一般教育訓練では、支給要件期間が原則3年以上必要です。
ただし、初めて教育訓練給付金を受ける場合は、一定の場合に1年以上で対象となる仕組みがあります。
専門実践教育訓練では原則3年以上で、初めて教育訓練給付金を受ける場合は2年以上が基本です。
離職している場合でも、雇用保険の資格を喪失してから受講開始までの期間など、一定の条件を満たせば対象になる場合があります。
自分が対象になるか判断しづらい場合は、スクールの説明だけで判断せず、ハローワークで支給要件を確認するのがおすすめです。
給付金を使えるスクールならどこでも対象になる?
ここは特に勘違いしやすいポイントです。
「そのスクールが対象」なのではなく、「その講座が対象か」を確認することが重要です。
同じスクールでも、
- 対象になるコース
- 対象にならないコース
- 受講期間によって条件が異なるコース
が存在する場合があります。
厚生労働省では、現在指定を受けている教育訓練講座を公式の講座検索システムから確認できます。
スクールのWebサイトに「教育訓練給付金対象」と書かれていても、自分が申し込むコース名まで確認するようにしましょう。
スクールそのものの比較方法については、リスキリングスクールの選び方|後悔しない7つのポイントも参考にしてください。
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」とは?
もう一つ知っておきたいのが、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」です。
この制度では、採択された事業者が、
- キャリア相談
- リスキリング講座の提供
- 転職支援
- 転職後のフォローアップ
を一体的に行います。
対象サービスを利用し、リスキリング講座を修了した場合、講座受講費用の1/2相当額、上限40万円の負担軽減があります。
さらに、制度上の条件を満たす転職を行い、その後1年間継続して転職先に就業したことが確認できた場合には、追加で1/5相当額、上限16万円の負担軽減があります。
合計すると、講座提供価格の最大70%相当、金額では最大56万円の負担軽減となる仕組みです。
ただし、「受講すればその場で70%返金される」という意味ではありません。
追加分には転職・継続就業などの条件があります。
キャリアアップ支援事業の対象になりやすいのはどんな人?
この制度は、単純に「何か勉強したい人」向けの制度ではありません。
原則として、サービスへの登録時や初回のキャリア相談時に在職しており、現在とは異なる雇用主への転職を目指している人が対象です。
そのため、
- 今の会社に残ったままスキルアップしたい
- 趣味として勉強したい
- 転職する予定はない
という場合は、制度の目的と合わない可能性があります。
逆に、
- 未経験職種へキャリアチェンジしたい
- IT・Web系へ転職したい
- 学習と転職支援をセットで受けたい
という方は、対象サービスを確認する価値があります。
スクールの転職支援については、リスキリングスクールの転職支援では何をしてくれる?求人紹介・書類添削・面接対策を解説で詳しく整理しています。
教育訓練給付金とキャリアアップ支援事業は併用できる?
「両方使えば、もっと安くなるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、国が支出する同じ趣旨の支援制度については、教育訓練給付金などとの併用ができないケースがあります。
そのため、対象講座を選ぶ際は、
- 教育訓練給付金を利用するのか
- キャリアアップ支援事業による負担軽減を利用するのか
を確認しておきましょう。
「補助率が高い方を選ぶ」だけではなく、自分が対象条件を満たすか、転職する予定があるか、どのサポートを必要としているかまで含めて判断することが重要です。
特定一般・専門実践は受講前の手続きに注意
教育訓練給付金の中でも、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練を利用する場合は、受講開始前の手続きがあります。
ジョブ・カードを作成し、訓練前キャリアコンサルティングを受けたうえで、ハローワークで受給資格確認を行う必要があります。
つまり、
「スクールに申し込んで受講を始めてから給付金を調べればいい」
とは考えない方が安全です。
気になる講座が見つかった段階で、
- どの教育訓練区分なのか
- 自分は受給資格を満たすか
- 受講前に必要な手続きは何か
- いつまでに手続きをする必要があるか
を確認してください。
「最大○%補助」だけでスクールを選ばない
元スクール営業として特に伝えたいのは、補助率だけでスクールを選ばないということです。
例えば、50万円の講座が補助対象だからといって、その講座が自分に必要とは限りません。
逆に、給付対象ではない比較的安い講座や独学の方が、自分の目的に合っていることもあります。
見るべきなのは、
- 目指す仕事に必要な内容を学べるか
- 受講後に何ができるようになるか
- 質問・添削を実際に利用できるか
- 働きながら続けられる学習量か
- 転職支援の内容が自分に必要か
- 補助適用後ではなく、もとの受講総額はいくらか
です。
料金そのものを比較したい方は、リスキリングスクールの料金相場|受講料以外に確認したい費用も解説も確認してみてください。
スクールへ申し込む前に確認したい6項目
給付金・補助制度を使ってスクールへ通う場合は、契約前に次の内容を確認しておきましょう。
- 自分が申し込む講座が制度の対象か
- 自分自身が対象条件を満たしているか
- 表示されている補助率はどの条件を満たした場合か
- 最初に自分で支払う金額はいくらか
- 追加給付・負担軽減を受けるための条件は何か
- 途中解約・返金時にどう扱われるか
特に「最大70%」「最大80%」という表記がある場合は、最大になるまでにどの条件を満たす必要があるのかを聞いてください。
無料相談で確認すべき内容については、スクールの無料カウンセリングで聞きたい10の質問でも詳しく解説しています。
返金や保証条件については、リスキリングスクールの転職保証・返金保証とは?条件・対象外・契約前の確認ポイントも参考にしてください。
ひとり親の方は、教育訓練給付金以外にも資格取得・就業を支援する制度が利用できる場合があります。対象条件や手続きの違いは、ひとり親が資格取得で使える給付金・支援制度で確認してください。
給付金・補助金を使うときの注意点
「対象スクール」ではなく「対象講座」を見る
スクール名だけで判断せず、自分が受講するコースが対象になっているか確認してください。
最大給付率=誰でも受けられる金額ではない
追加給付には、資格取得・就職・賃金上昇・継続就業などの条件が設定されている場合があります。
受講前に必要な手続きがある
特定一般教育訓練・専門実践教育訓練などでは、受講前に行う手続きがあります。
入会を決める前の段階で確認しましょう。
給付金があるから高額講座を選ばない
「補助されるから実質安い」という理由だけで受講すると、目的に合わない講座を選ぶ可能性があります。
給付制度はスクール選びの判断材料の一つであり、スクールそのものの価値を保証するものではありません。
よくある質問
リスキリングの補助金は個人でも使えますか?
個人が利用できる制度はあります。ただし、教育訓練給付金とキャリアアップ支援事業では対象条件や仕組みが異なります。
リスキリングスクールなら70%補助されますか?
すべてのスクール・すべての人が70%補助されるわけではありません。対象となるサービス・講座を利用し、所定の条件を満たす必要があります。
教育訓練給付金は最大何%ですか?
教育訓練の種類によって異なります。一般教育訓練は20%、特定一般教育訓練は40%から条件により50%、専門実践教育訓練は50%から条件により70%、さらに所定の賃金上昇条件まで満たすと80%となる仕組みがあります。
会社員でも利用できますか?
教育訓練給付金は、一定の雇用保険加入期間などを満たす在職者も対象となります。また、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業も、原則として在職者が雇用主の変更を伴う転職を目指す場合を対象としています。
退職していても教育訓練給付金を利用できますか?
雇用保険の被保険者でなくなった場合でも、資格喪失後から受講開始までの期間や過去の加入期間など、一定の条件を満たせば対象になる場合があります。個別の受給資格はハローワークで確認してください。
給付金対象のスクールならおすすめですか?
給付対象であることと、自分に合うスクールであることは別です。カリキュラム、学習時間、質問・添削環境、転職支援、総額などを比較してください。
まとめ|補助率ではなく「制度・条件・講座」の3つを確認する
リスキリングで利用できる給付金・補助制度はあります。
ただし、重要なのは「最大○%安くなる」という数字だけではありません。
まず確認したいのは、
- どの制度を利用するのか
- 自分が対象条件を満たすのか
- 申し込む講座が対象なのか
- 追加給付を受ける条件は何か
- 受講前に必要な手続きはあるか
です。
特にスクールを比較している段階では、補助適用後の金額だけではなく、もとの受講料とサポート内容をセットで比較してください。
そのうえで、自分に必要な学習環境へ公的支援を使えるのであれば、費用負担を抑えながらリスキリングを進める選択肢になります。
スクール選びそのものから整理したい方は、リスキリングスクールの選び方|元スクール営業が後悔しない7つのポイントを解説から確認してみてください。

